薬理学の用語集

一般的に用いられる薬理学の条件の定義

吸光度

溶液の各波長における光の吸収の程度を測定する際の、溶液に対する入射光の強さ(I0)と透過光の強さ(I)の比の対数。吸光度は分析化学においてELISA法、タンパク質や核酸定量または酵素活性分析などに使用される。

ADME

薬物の生体内における移行と変化の過程のこと。吸収(Absorption)、分布(Distribution)、代謝(Metabolism)、排泄(Excretion)の略称。

作動薬(アゴニスト)

受容体に結合し,生体内物質と同様の細胞内情報伝達系を作動させる薬物。アゴニストが受容体と結合すると受容体の立体配座の変化が起こって生体応答反応を引き起こす。生体内物質と同様に完全な活性を発揮するものをフルアゴニスト、部分的な活性しか示さないものはパーシャルアゴニストと呼ばれる。パーシャルアゴニストは受容体にプラスに働きながらも、本来のリガンドの結合を阻害してしまうため、結果として抑制の方向に働いてしまう事がある。

アロステリックモジュレーター

ある受容体(タンパク質)が持つアロステリック部位に結合して、そのタンパク質のオルソステリック部位の作用を高める働きをするリガンドのこと。逆に、オルソステリック部位の作用を弱めるリガンドはネガティブアロステリックモジュレーターと呼ばれる。

拮抗薬(アンタゴニスト)

受容体に結合し,神経伝達物質やホルモンなど本来のリガンド分子の作用を阻害する薬物。アンタゴニストの阻害機構には主に競合阻害と非競合阻害の二種類がある。
受容体が本来のリガンド分子と結合する部位を奪い合うことでアゴニストの作用を阻害する競合的拮抗薬(コンペティティブ・アンタゴニスト)と、受容体の結合定数に影響を及ぼす、又は受容体と不可逆的に結合するなどしてアゴニストの作用を阻害する非競合的拮抗薬(ノンコンペティティブ・アンタゴニスト)がある。

AUC

血中薬物濃度時間曲線下面積(Area Under the blood concentration-time Curve)の略語。
体内循環で流れた薬物の全体量を示す。

BALB/c

アルビノの実験で飼育されたハツカネズミの系統であり、そこからいくつかの亜系が作出されている。1920年にニューヨークから200世代以上経った現在、BALB/cマウスは世界中に分布しており動物実験で最も広く使用されている近交系の一つ。多くの場合、BALB / c脾臓細胞由来のハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体の産生のために使用されている。

Bmax

受容体密度を示す最大結合部数のこと。薬物の受容体結合の様式 (競合型あるいは非競合型)や持続性(受容体からの 解離速度)などを予測する際に必要となる値。

C57BL/6

C57B6またはB6と呼ばれることが多い、一般的な近交系実験用マウス。ヒトの疾患モデルとして使用される遺伝子改変マウス系統の遺伝的背景として広く使用されている。遺伝的背景が同一の血統が入手可能であること、交配が容易であること、頑健性などの理由によって広く使われているマウス血統。

CYP

シトクロムP450(Cytochrome P450)の略称。分子量約45,000から60,000の水酸化酵素ファミリーの総称。近年CYPに関する遺伝子研究が飛躍的に進み、CYPの遺伝的多型により各種薬物の代謝速度に個人差が現れることが解明されている。

Cheng-Prusoff 式

競合結合試験においてIC50値から絶対阻害定数 Ki値を決定する際に用いられる。Cheng-Prusoff 式は高いアゴニスト濃度においてよい推定値を与えるが、低いアゴニスト濃度ではKiを実際より高く、あるいは低く見積もる場合がある。これらの条件では、その他の解析法が推奨される。

脱感作

アゴニストを長期投与した際に薬に対する感受性が低下すること。脱感作は受容体数の減少や受容体に対する親和性の減少などによって起こる。

DMPK

Drug Metabolism and Pharmacokineticsの略称で、薬物がヒトの体内に取り込まれて薬効を発揮する過程で起こる酵素的酸化反応や抱合反応、あるいは加水分解などの代謝作用によって速やか、かつ安全に体外に排出する薬物の体内動態に関する評価・解析結果。

EC50

薬物や抗体などが最低値からの最大反応の50%を示す濃度。

ED50

試験に用いた動物の半数に効果が現れる薬物の用量。

IC50

化合物の生物学的または生化学的阻害作用の有効度を示す値。どの濃度でその薬物が標的としている要素(酵素、受容体など)の50%の働きを阻害できるかを示している。

ID50

母集団の50%を死滅または感染させるのに必要な薬容量。

ELISA

酵素免疫測定法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)。試料溶液中に含まれる目的の抗原あるいは抗体を、特異抗体あるいは抗原で捕捉するとともに、酵素反応を利用して検出・定量する方法。

Ex vivo

培養組織や培養細胞で観察される現象。

KB

分子Aと分子Bとの結合/解離についてA+B⇄ABの平衡反応が成立する場合、平衡状態における遊離型の分子A、遊離型の分子Bおよび結合型ABのモル濃度をそれぞれ[A]、[B]、[AB]とした際の結合定数。

KD

結合型ABから遊離型のAおよびBへの解離反応(AB ⇄ A + B)として捉えた場合の平衡定数が解離定数。結合定数の逆数となる。

Ki

阻害定数。Kiは酵素と阻害剤の親和性の尺度であり、値が小さいほど酵素に対する親和性が強いことを示す。

ヌードマウス

胸腺の劣化あるいは欠損を引き起こす突然変異を持つ血統の実験用マウス。ヌードマウスではT細胞数の著しい減少が生じ、その結果として免疫系が阻害される。表現型あるいは主要な外観として体毛の欠如がある。ヌードマウスは異なる型の組織や腫瘍の移植に対して拒絶反応を示さないため、研究に有用です。ヌードマウスの遺伝的根拠はFOXN1遺伝子の破壊にある。

LC-MS

高速液体クロマトグラフ法(HPLC)の一種に分類され、液体中の成分を固定相と移動相の相互作用の差を用いて分離し、質量検出器で検出する手法。さらに質量検出器を連結し、特定の質量のみをフラグメント化させて検出する手法をLC/MS/MSと言う。LC/MS/MSでは他の共存物の影響を受けにくく、選択性の高い分析が可能となる。

飛行時間型の質量分析計

粒子の質量分析計の一種で、加速させた荷電粒子(イオンまたは電子)の飛行時間を計測することにより対象の質量を測定する分析計。分子量が数十万に及ぶタンパク質などの生体物質の同定、定性に利用されたことから生化学の分野で広まり、今日では合成ポリマーなどの高分子や、医薬品、代謝物などの低分子の精密測定にも用いられている。

時間分解蛍光(TRF)測定

通常の蛍光が消光した後に測定を開始し、一定時間内の蛍光量の測定を行うこと。

四重極型質量分析計

質量分析計の一種。4本の電極ロッド(四重極)に直流電圧と交流電圧を与えることで、ある特定の質量(m/z値)のイオンだけがはじき飛ばされずに通過できる電場を形成させる。

XTT

ミトコンドリアの脱水素酵素の働きによって黄色いテトラゾリウム塩 XTT が分解されてオレンジ色のホルマザン色素が形成される。この方法により培養細胞の生存率や増殖率を試験することが可能である。様々な試薬(医薬品候補など)や毒物の細胞毒性を評価することにも用いられる。